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抗精神病薬【非定型薬・開発中】いろいろ
  • 定型精神病薬は投与量に制限がないが、非定型抗精神病薬の場合は保険適応上極量設定がなされている(例:リスパダールは1日で最高12mgまで)。
  • 1日あたりのメジャーの総量がクロルプロマジン(CP)換算で1000mgを超えると、治療効果に差はないというエビデンスが出ており、古典的な多剤併用処方についてCP1000mg相当まで減量していくことは可能である。
  • 処方変更・減量はきわめてゆっくり、時間をかけて行う。定型→非定型への置換で、特に(定型薬の長期的副作用と考えられる)陰性症状の緩和が期待できる。なお、狭義の陰性症状に対しては、現時点ではクロザピン以外は有効なエビデンスはない。
  • 陽性症状に対する効果発現には少なくとも1週間を要し、陰性症状に対しては2〜4週間の観察が必要である。統合失調症以外の精神病性反応には、症状安定後もさらに2〜3年は現処方量を維持し、その後慎重に減量を行う。統合失調症および精神病性反応の再発例では長期投与を要する。
  • 非定型薬への治療反応性が悪い場合は、速やかに定型薬を開始すべきである。
  • 精神運動興奮に対しては、セレネースまたはリスパダールといった陽性症状に速効性の薬剤と共に、高力価のマイナーを使用する。切迫した状態の場合、マイナーによる鎮静を優先して用いる。精神運動興奮が長期間持続しうる症例の場合には鎮静系のメジャー(CP・LP)を投与するが、近年ではセロクエル・ジプレキサが有効とされる。
  • 近年「非定型薬をせん妄に対して用いると、用いない場合と比べ死亡率が上昇する」というエビデンスが提示されたが、定型薬(これは明らかに死亡率を上昇させる)との比較対象試験は行われていない。副作用の頻度を考慮すると、せん妄に対して抗精神病薬を用いざるを得ない場合は、非定型薬を優先して用いることが臨床上増えてきている。

凡例
大分類
中分類
小分類
一般名の日本語・英語表記
製剤番号
先発品の日本語・英語表記
(発売元・製造元・販売元など)
後発品の一部
小ネタ

非定型抗精神病薬
SDA (Serotonin and Dopamine Agonists)
セロトニン・ドーパミン作動薬
リスペリドン
Risperidone
R 64.766
リスパダール Risperdal (Janssenヤンセン) 米国 1993年 日本 1996年

<後発品>
リスペリドン (各社)

<持効性注射剤>
リスパダールコンスタ Risperdal Consta (Janssenヤンセン)

ピパンペロンに非定型性があることから、これから合成されたHT2拮抗薬であるリタンセリン(消化管運動改善薬・治験中)をベースにセトペロンを合成。抗幻覚妄想作用と鎮静効果が高く、剤形も豊富。高用量での作用も副作用もセレネース類似で、プロラクチン上昇が最大の問題。
液剤の場合、血中濃度が急激に上昇することで、注射薬とほぼ同等の即効性を有し、かつ錐体外路症状の出現を避けられるといわれる。
水酸化リスペリドン
9-OH Risperidone
パリペリドン
Paliperidone
RO 92670
<徐放剤>
インヴェガ Invega  (Janssenヤンセン) 米国2007年1月 日本 2011年1月

<持効性注射剤>
インヴェガサステナ Invega Sustenna
ゼプリオン Xeplion (Janssen/ヤンセン)
D2拮抗・5-HT2体部分拮抗薬。リスペリドンの活性代謝物を含むAlza社開発のOROSテクノロジを用いた徐放剤。持効性注射剤は米国では「インヴェガサステナ」の商品名だが、日本国内ではこの商品名は認められず、EU同様「ゼプリオン」の名称となった。
ペロスピロン
Perospirone
SM-9018
ルーラン Lullan(大日本住友製薬)日本 2001年 セロトニン系抗不安薬のタンドスピロン(セディール)をベースに住友薬品が開発された、国産非定型薬。セロクエルのloose bindingに対抗して、こちらはD2遮断作用の時間変化(活性代謝物ID-15036)に着目しており、これが錐体外路症状の発現を抑えているといわれる。プロラクチン系の影響もなく、薬価も安いため、高齢者への投与に適しているとされる。
チオスピロン
Tiospirone

中止

D2/Σ受容体拮抗薬として開発されたが中止。
クエチアピン
Quetiapine
ICI 204.636
ZD 5077
ZH 204636
FK949
セロクエル Seroquel(AstraZenecaアステラス)日本 2001年
ビプレッソ Bipresso (アステラス/共和) 2017年
クロザピンから開発された。従ってMARTAに分類されることが多い。
鎮静効果が高く、特に陰性症状への効果が高いとされている。レセプターへの結合が緩いことが錐体外路症状の発生を抑えるといわれる。急速増量法が注目される。ノルアドレナリンα1受容体拮抗阻害が強い一方でα2受容体への親和性は弱い。ビプレッソは双極性障害のうつ病相のみに適応の徐放剤。
イロペリドン
Iloperidone
HP 873
P 9662
ゾマリール Zomaril(Novartis 5HT2/D2拮抗薬。国内では既存薬と比べて優位性がないため治験予定はない。
ベラペリドン
Belaperidone
LU-111995
開発中(Knoll, Abbott)
オクタペリドン
Octaperidone
 
ブロナンセリン
Blonanserin
AD-5423
ロナセン Lonasen大日本住友製薬Almirall)2008年4月 国産。諸外国ではアルミラルが販売。経費吸収型は国内P3中。
ジプラシドン
Ziprasidone
CP-88059
ジオドン Geodon・ゼルドックス Zeldox(Pfizer) 2001年米国
国内開発P2
5-HT2/5-HT1C/D2 antagonist、5-HT1A agonistであることからMARTAに分類されるが、特に5-HT2A/D2受容体結合比が高い。鎮静作用は弱く、体重増加も少ないが、心室性不整脈の注意・糖尿病・高血糖の報告がある。国内ではP3まで行ったが中止 。
セルチンドール
Sertindole
Lu 23-174
Lu 28-092
Lu 25-073
サードレクト Serdolect(AbbottLundbeck) 5-HT2, alpha1 and dopamine D2 receptor antagonist
ルラシドン
Lurasidone
ラツーダ Latuda (大日本住友) 米国で統合失調症に認可。日本国内では治験中。米国および日本国内ともに、双極性障害に対しても治験中。当初は大日本住友と武田での共同開発だったが解消。
Dopamine System Stabilizer
Dopamine Partial Agonist
Selective Dopamine-Serotonin Antagonist
ドパミン受容体部分作動薬
アリピプラゾール
Aripiprazole
OPC14597
OPC31
エビリファイ Abilify(大塚製薬Bristol-Myers Squibb) 2006年発売

<持効性注射剤>
エビリファイメンテナ Abilify Maintena (大塚製薬)
クロルプロマジン〜ハロペリドールから続く、統合失調症のドパミン仮説に基づく最後の薬剤。P3で中止となった自己受容体作動薬OPC4392のD2遮断作用を強めたもの。
国産。鎮静作用は弱い。MARTAに対抗し、DSS(Dopamine System Stabilizer)の概念を提唱。もともと「アビリファイ」の商品名で発売予定も、アビリットと名称類似のため、「エビリファイ」で商品名決定。BMIを標準に近づける作用もあるという。賦活系の薬剤と認識されつつある。持効性注射剤は海外では「エビリファイメンテナ」の商品名だが、日本国内ではこの商品名は認められなかった。
双極性障害の躁状態・うつ病に対しても用いられる。
ブレクスピプラゾール
Brexpiprazole
OPC-34712
Rexulti レキサルティ (大塚製薬) アリピプラゾール同様、D2受容体及び5HT1A受容体に結合、パーシャルアゴニストとして作動。一方で、5HT2A受容体にはアンタゴニストとして働く、SDAM; Serotonin Dopamine Activity Modulatorとされる。うつ病の補助療法としても認可。国内でも申請中。
MARTA (Multi Acting Receptor Targeted Antipsychotics / Agents)
混合精神伝達物質受容体拮抗薬
クロザピン
Clozapine
LX 100-129
W 108
クロザリル Clozaril (Novartis/ノバルティス) ベンゾジアゼピン系骨格をもとに、1961年にWonder社(サンド社を経て現ノバルティス)により開発され、1969年にオーストラリアで承認された。米国では 1972年に認可されたものの、無顆粒球症の副作用にて1975年発売中止。1988年に非定型性を再発見(これにより、統合失調症の難治例が提唱された)、1990年にFDAで再認可された、最も効果的かつ最も危険な非定型薬。毎週の血液モニタリングが必須。 難治性統合失調症や原発性陰性症状に対して、現時点で有効なエビデンスが示されている唯一の薬剤。登録制。
オランザピン
Olanzapine
LY-170053
ジプレキサ Zyprexa (Eli Lillyイーライリリー) 1996年米国・2001年日本

<口腔内崩壊錠>
ジプレキサザイディス Zyprexa Zydis (Eli Lillyイーライリリー)

<合剤>
シンビアックス Symbyax(Eli Lilly)

クロザピンをプロトタイプとしているため、特に難治性および慢性期の統合失調症に効果的だが、15mg以上の投与で有意に陰性症状への効果があるとされる。
厳密には、MARTAの概念はLillyが提唱したもの。英国Cardinal Health社のフリーズドライ錠(Zydis)を採用したジプレキサザイディス錠もあり。耐糖能異常の副作用が最大の問題。シンビアックスはプロザックとの合剤で、重症のうつに極めて効果的とされるが、国内はプロザックが使えないので代わりにパキシルを用いるのが妥当か。2004年には米国および欧州でデポ剤が認可されている。注射薬もある。
アセナピン
Asenapine
ORG-5222
ME2136
シクレスト Sycrest(MSD/Meiji Seikaファルマ)
サフリス Saphris
三環系。5HT2/D2拮抗薬。MARTAの中では体重増加が比較的少ないとされる。舌下錠。
開発中
ビフェプルノックス
Bifeprunox
DU-127090
Lu 02-754
開発中 (Lundbeck/Solvay D2部分作動、5-HT1A拮抗薬。
ミフェプリストン
Mifepristone
RU-486
ミフェプレックス Mifeprex(Danco) グルココルチコイド2受容体・プロゲステロン受容体拮抗薬。抗精神病薬としても開発中。
Licarbazepine
LIC477D
開発中(Novartis Voltage-gated Naチャンネル阻害薬。
Cannabidiol    
D-Cycloserine    
Mifepristone    
Rimcazole    
Secretin    
Talnetant    
Tetrabenazine    
Vabicaserin    
Amperozide    
カリプラジン
Cariprazine
開発中 P2 D2・D3受容体拮抗薬
Pardoprunox    
Pimavanserin    
Eplivanserin 中止
モリンドン
Molindone
モーバン  
Piquindone 開発中止。
開発中 未整理のもの
U-101387 開発中(Pfizer)統合失調症および抑うつにも効果的とされるドーパミン拮抗薬。P2中。
M-100907 開発中(Sanofi-Synthelabo)選択的5-HT2A拮抗薬 。P3中。SR-31742 開発中(Sanofi-Synthelabo) Σ受容体拮抗薬。P2中。
NE-100 開発中(大正) Σ1受容体拮抗薬 。P2までいったが中止。現在ではσ受容体に関する研究での阻害薬として広く用いられる。
MK-869 Merck 米国P3
SL-820714 開発中
CX-516 開発中
LAX-101 開発中
ORG-24448 開発中(Organon)
ABT-089 開発中(Abbott)
E-5842 開発中(Esteve) Σ1拮抗・5HT取り込み阻害薬。P2中。
SM-13496103 開発中
SLV-310/313/104 開発中
SM-13496
Pregabalin (Parke-Davis) リリカとして発売。
s33138 D3 antagonist
グリシン
グリシントランスポーターtype1阻害薬
MS-355/MS-377 中止(Schering) D2/Σ受容体拮抗薬。
Rimcazole 中止 D2/Σ受容体拮抗薬。痙攣の副作用のため中止。
BMY 14802 中止(Bristol-Myers Squibb) 強力なΣ受容体拮抗薬とされていたが、治験では脱落率が高くP2で中止。
Panamesine
EMD 57445 中止(Merck)
MDL100 MDL907 中止(Aventis) 5HT2A受容体拮抗薬。米国でP3までいったが中止。
FK960(藤沢) 中止
SL-820714 開発中
MAR 327 中止(Novartis)
 

Last Updated:2017/08/11
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